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おやつとむし歯の関係
甘いものとの上手な付き合い方
はじめに
「甘いものを食べるとむし歯になる」と昔からよく言われますが、現代の子どもたちや大人にとって“おやつ”は日常生活の楽しみのひとつでもあります。完全に避けるのではなく、正しい知識を持って上手に付き合っていくことが大切です。
本コラムでは、おやつとむし歯の関係を科学的に解説しながら、甘いものとの賢い付き合い方について、歯科医師の視点からわかりやすくお伝えします。
おやつ=むし歯の原因?
甘いものがむし歯を引き起こす…これは正確には「間違いではないが、誤解もある」と言えます。
むし歯は以下の4つの要素が重なって発生します。
- 歯の質
- むし歯菌(ミュータンス菌など)
- 糖分(主に砂糖)
- 時間(だらだら食べなど)
つまり、「甘いものを食べた=即むし歯」ではなく、糖分が口の中に長時間とどまり、菌が酸を出し続ける状態こそがむし歯のリスクを高めているのです。
むし歯になりやすい“おやつの食べ方”とは?
①「だらだら食べ」
1回の量が少なくても、長時間・頻回に食べ続けるとむし歯リスクは急上昇します。
たとえばアメやグミ、キャラメルなどは口の中に残る時間が長く、酸がつくられる時間も長くなります。
②「ジュース・スポーツドリンクの常飲」
清涼飲料水や果汁飲料、乳酸菌飲料などには予想以上の糖分が含まれています。
また液体は歯の表面全体に広がりやすく、頻繁に飲んでいると常に酸性状態に。
③「寝る前・夜中のおやつ」
寝ている間は唾液の分泌が減るため、酸を中和する力が弱まります。
その状態で甘いものが口の中に残っていると、むし歯の進行が加速してしまいます。
おすすめのおやつとNGおやつ
◎比較的むし歯になりにくいおやつ
- チーズ、ナッツ、小魚(カルシウム補給にも)
- 果物(糖分はあるが、繊維質が唾液分泌を促す)
- おにぎり、ふかしいも(腹持ちがよく満足感◎)
- キシリトールガム(むし歯菌を減らす作用)
×むし歯リスクが高いおやつ
- キャラメル、グミ、アメ(歯にくっつきやすく、糖分が長時間残る)
- ジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料(糖分が多く液体なので全体に広がる)
- クッキー、ビスケット、甘い菓子パン(粉類は歯に残りやすく口内が乾きやすい)
甘いものとの“上手な付き合い方”
① 時間と頻度をコントロールする
「1日1回、おやつの時間を決める」「食べたらすぐ歯みがきやうがいをする」など、時間を区切ることが最大のポイントです。
② 食べるタイミングを工夫する
「食後のデザート」として甘いものをとるのは、唾液が多く出ている時間帯なので比較的むし歯リスクが低いです。
一方、空腹時や寝る前の甘いものは控えましょう。
③ 飲み物は水かお茶が基本
甘いおやつと一緒に甘い飲み物をとると糖分の重ね食べになります。水や無糖のお茶を習慣にすると、自然とむし歯リスクも下がります。
④ キシリトール製品の活用
ガムやタブレットなどに含まれるキシリトールは、むし歯菌の働きを弱めるとされています。
おやつ代わりに取り入れると効果的です。
お子さまの「おやつ教育」は家庭から
子どものうちに身についた食習慣は、大人になっても影響します。
「甘いものを禁止する」ではなく、おやつは“時間・量・種類”を決めて楽しむものだと教えることが将来のむし歯予防につながります。
また、幼少期は保護者の仕上げ磨きや定期的な歯科健診も重要です。
甘いものをとること自体を怖がらず、上手に取り入れながら、歯を守る工夫を重ねていくのが理想です。
まとめ
- 甘いおやつ=むし歯の原因ではなく、「食べ方」に注意が必要
- だらだら食べや頻回なジュース摂取が最も危険
- チーズやナッツ、果物などを取り入れたおやつが◎
- おやつの後の歯みがき・うがい・キシリトールでケアを
- 子どものおやつ教育は家庭でのルールづくりがカギ
おやつの時間は、親子のコミュニケーションやリフレッシュにもつながる大切な習慣。だからこそ、むし歯にならないための“正しい選択”と“ケアの習慣”を知って、安心して楽しんでいただきたいと思います。
気になることがあれば、ぜひ当院でご相談ください。食生活も含めた予防歯科のサポートを行っております。