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口呼吸の悪影響とは?
歯並び・むし歯・睡眠への意外な影響と対策
はじめに
「寝ているときに口が開いている」「気づくと口呼吸になっている」
そんなお悩みを持つ方はいませんか?
実は、“口で呼吸する癖”は、見た目や健康にさまざまな影響を及ぼします。特に、お子さんの歯並びや免疫機能に直結することもあり、軽視できない習慣です。
今回は歯科の視点から、口呼吸が及ぼす影響と、今からできる予防・改善法について詳しく解説します。
口呼吸と鼻呼吸の違い
人間の本来の呼吸は「鼻呼吸」です。
鼻にはフィルター・加湿・温度調節という大切な役割があり、空気中のウイルスやホコリから体を守ってくれます。
一方、口呼吸ではこれらの機能が失われ、乾燥した空気や細菌が直接のどに届いてしまいます。その結果、口腔内や全身への悪影響が出やすくなるのです。
1. 口呼吸が与える口の中への影響
◆ むし歯や歯周病のリスク増加
口呼吸の人は常に口が乾きやすく、唾液の量が減少します。
唾液には「自浄作用」や「抗菌作用」があるため、これが不足すると細菌が増殖しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが大幅にアップします。
◆ 口臭が強くなる
唾液が減ると、舌や歯ぐきに細菌が増殖しやすくなり、口臭の原因に。
「しっかり歯磨きしているのにニオイが気になる」という方は、口呼吸が一因の可能性もあります。
◆ 前歯の着色や歯石の増加
乾燥した前歯周囲は、汚れがつきやすく、歯石が前歯に付きやすくなる傾向にあります。とくに上の前歯が黄色く見えるなど、審美的にも影響が出てきます。
2. 歯並びや顎の成長への影響(特に子ども)
◆ 顎の発育不全・出っ歯・開咬
子どものころに口呼吸が続くと、舌の位置が下がり、上顎や下顎の骨の発育に悪影響を与えます。
その結果、
- 上顎が狭くなる(=歯並びがガタガタに)
- 出っ歯・開咬(奥歯は噛んでいるのに前歯が閉じない)
- 面長な顔つきや無表情に見える
などの変化が生じやすくなります。
◆ 舌癖・嚥下障害のリスク
口呼吸が習慣になると、舌が本来の「上あごにぴったりつく位置」ではなく、下の方に落ちたままになります。これにより、正しい嚥下(飲み込み)ができなくなり、舌で前歯を押すような癖(舌突出癖)が出やすくなります。
矯正治療後の後戻り原因にもつながるため、舌の位置や口の閉じ方には注意が必要です。
3. 睡眠と全身への影響
◆ いびき・睡眠時無呼吸症候群のリスク
口を開けて寝ていると、のどが狭くなりやすく、いびきや無呼吸が起こる可能性が高まります。
これにより、夜間に十分な酸素が取り込めず、熟睡できていない状態が続いてしまいます。
- 起きても疲れが取れない
- 昼間に眠くなる
- 集中力が続かない
などの症状がある方は、睡眠の質が低下しているサインかもしれません。
◆ 子どもの集中力・成長への影響も
子どもにとって睡眠は発育の要です。
口呼吸による睡眠の質の低下は、成長ホルモンの分泌や集中力・記憶力の低下にも影響すると言われています。
4. 口呼吸をチェックするセルフチェックリスト
以下の項目に当てはまる数が多いほど、口呼吸傾向があるかもしれません。
- 朝起きたときに口が乾いている
- 寝ているときにいびきをかく
- 唇がいつも乾燥している
- 歯並びがガタガタしている
- 鼻づまりが頻繁にある
- 口が「ぽかん」と開いている時間が多い
- 前歯の先端がしみる・着色している
- 無意識のうちに口で息をしている
2つ以上当てはまる方は、一度歯科または耳鼻科への相談をおすすめします。
5. 口呼吸の改善法・対策
◆ 原因を探る(鼻詰まり・アレルギー性鼻炎の有無)
まずは口呼吸の“原因”が一時的なものか、習慣化した癖かを見極めることが大切です。
慢性的な鼻づまりがある場合は、耳鼻科での治療が必要な場合もあります。
◆ 口周りの筋肉を鍛える
口輪筋(こうりんきん)を鍛えるトレーニングや「あいうべ体操」なども有効です。
- 「あ〜」「い〜」「う〜」「べ〜」と大きく口を動かす
- 舌をしっかり上あごにつける癖をつける
こうした習慣づけが、正しい呼吸と舌の位置に役立ちます。
◆ 就寝時は口テープを使うのもひとつの方法
市販の「口閉じテープ」などを活用し、寝ている間に自然と鼻呼吸が促されるようにサポートするのもおすすめです。
おわりに
口呼吸は、本人が無自覚のうちに進行し、むし歯・歯周病・歯並び・睡眠の質・免疫力など、多方面に影響を及ぼします。
特にお子さんの場合は将来の歯並びや顔立ちにも関わるため、早期の気づきとサポートが非常に重要です。
当院では、口呼吸の改善や歯並びへの影響を含めたトータルケアを行っております。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。