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歯科でよく聞く「フッ素」ってなに?
むし歯予防に欠かせない3つの効果
「フッ素入りの歯磨き粉を使ってくださいね」
「定期的にフッ素塗布をしましょう」
歯医者さんでこう言われたことがある方、多いのではないでしょうか?
でも、「フッ素ってなんとなく歯にいいらしいけど、具体的に何をしてくれるの?」と疑問に思っている方も少なくありません。
今回は、フッ素の本当の役割と効果について、歯科医院の視点からわかりやすくご紹介します。
◆そもそも「フッ素」とは?
フッ素(fluoride)は、自然界に広く存在するミネラルの一種で、海藻・魚介類・緑茶などにも含まれています。
歯の健康にとって重要な作用があり、世界中の歯科予防の現場で活用されている成分です。
特に日本では、フッ素を活用した歯磨き粉・フッ素洗口・歯科医院での高濃度フッ素塗布など、さまざまな方法で虫歯予防が行われています。
◆フッ素の“3つの効果”とは?
① 歯を強くする「再石灰化の促進」
私たちの歯は、飲食のたびに「脱灰(だっかい)」と「再石灰化」を繰り返しています。
脱灰とは、酸によって歯の表面からカルシウムやリンが溶け出す現象。
これが続くと虫歯になります。
そこでフッ素の出番。
フッ素は再石灰化を助ける働きがあり、溶け出した成分を再び歯に取り込むのをサポートしてくれます。
これにより、初期の虫歯を自然に修復する可能性も高まります。
② 虫歯菌の働きを弱める
フッ素には、虫歯菌の酵素の働きを抑え、酸の産生を抑える効果もあります。
つまり、「歯を溶かす酸」をつくる力そのものを弱めてくれるのです。
虫歯の原因であるミュータンス菌などの活動が低下するため、虫歯の進行を遅らせたり、発生そのものを予防することができます。
③ 歯質そのものを強化する
フッ素がエナメル質に取り込まれることで、フルオロアパタイトというより強い結晶構造に変化します。
この歯質は酸に対して非常に強く、脱灰しにくいため、フッ素を使い続けることで虫歯に強い歯が育っていくのです。
子どもはもちろん、大人でも効果があり、歯の根元がしみる知覚過敏の軽減にもつながります。
◆フッ素の使い方:家庭+歯科医院でのWケア
◇自宅でできるフッ素ケア
- フッ素入り歯磨き粉(推奨濃度950ppm〜1450ppm)
毎日使い続けることで、虫歯リスクを下げます。 - フッ素洗口(フッ素入りのうがい薬)
学校で実施されている自治体もあり、家庭でも手軽にできます。 - 歯磨き後のうがいは少なめに!
フッ素が流れてしまうため、軽く1回だけのうがいでOKです。
◇歯科医院でできるフッ素塗布
- 高濃度フッ素(9000ppm程度)を塗布
特に虫歯リスクが高い方やお子さんにはおすすめ。
歯科医院ならではの濃度と精度で、より高い予防効果が期待できます。 - 定期検診とセットで行うのがおすすめ
歯の状態をチェックしながら、必要な部位に丁寧にフッ素を届けられます。
◆「フッ素は危険」って聞いたけど本当?
インターネット上で「フッ素は体に悪い」という情報を見ることがありますが、適切な濃度・使用方法であれば心配はありません。
日本の歯科医院や薬局で扱っているフッ素製品は、厚生労働省の基準を満たした安全なものです。
また、フッ素塗布は「薬品」ではなく「予防処置」として扱われており、小さなお子さんから大人まで安心して使えます。
◆まとめ:フッ素は歯を守る“強い味方”
フッ素は、単なる「歯磨き粉の成分」ではなく、歯そのものを強くし、虫歯を防ぐ効果がある頼もしい成分です。
毎日のケアに取り入れながら、歯科医院での定期的なフッ素塗布も受けることで、虫歯リスクを大きく下げることができます。
とくに虫歯ができやすい方、過去に何本も治療している方、お子さまの歯を守りたい方は、ぜひフッ素の力を上手に活用してみてください。
☑ フッ素ケアが気になる方へ
当院では、年齢・リスクに応じた最適なフッ素ケアをご提案しています。
初期虫歯のチェックやセルフケアのアドバイスも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。