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“詰め物がよく外れる”のはなぜ?
再治療が多くなる3つの理由と、予防のために知っておきたいこと
はじめに
「何度も詰め直しているのに、また外れた」
「この前治したばかりなのに、取れてしまった」
このようなご相談は、実は歯科医院ではとてもよくあるお悩みのひとつです。
詰め物(インレーやレジンなど)が外れることには、いくつかの“理由”があります。
単に“運が悪い”“歯が弱い”というだけではなく、治療の条件や口腔環境、生活習慣が関係しているケースも多いのです。
今回は、「なぜ詰め物が外れやすいのか?」という点を3つの視点から解説し、再発リスクを減らすためにできることについてもご紹介します。
1. 詰め物が外れる主な原因
まず、詰め物が外れる原因は次のようなものが挙げられます。
- むし歯の再発(2次カリエス)
- 接着剤(セメント)の劣化や不適合
- 噛み合わせの力が強すぎる・歯ぎしり
- 歯の破折や欠け
- 治療時の条件(唾液や出血の混入など)
中でも、多くの方に当てはまる要因が次の3つです。
理由①:むし歯が再発している(2次カリエス)
詰め物をしている歯は、一見問題なさそうに見えても境目から再びむし歯になることがよくあります。これを「2次カリエス」と呼びます。
◆ なぜ詰め物の周りから再発するの?
- セメント(接着剤)が経年劣化で少しずつ溶け出す
- 詰め物と歯の間にわずかな段差・すき間がある
- 歯磨きが行き届きにくく、プラークが溜まりやすい
こうした状態が続くと、気づかないうちに内部がむし歯になって接着力が落ち、詰め物が外れるということが起こります。
◆ 対策
- 詰め物の精度が高い治療(精密治療)を受ける
- 定期的な検診とクリーニングで早期発見
- フッ素やミネラルで歯質を強化する
むし歯の再発を防ぐことが、結果的に「詰め直しの繰り返し」を減らす近道となります。
理由②:噛み合わせの力が強すぎる/歯ぎしり・食いしばりがある
無意識のうちに行われている歯ぎしり・食いしばりも、詰め物が外れる大きな原因です。
◆ 噛む力は想像以上に強い
人間の噛む力は、平均でも50~100kg/cm²以上とも言われており、
特に寝ている間の歯ぎしりでは、これ以上の力が断続的に加わることがあります。
特に下記のような方は要注意です。
- 起きたときにあごがだるい
- 詰め物が割れたり、かけたりした経験がある
- 歯の根元がしみる・歯がすり減っている
- ナイトガードを勧められたことがある
◆ 対策
- 噛み合わせの調整を定期的に受ける
- ナイトガード(マウスピース)を使う
- 食いしばりを防ぐ意識づけ(姿勢・ストレス対策)
歯ぎしりは無意識の習慣であるため、定期的なチェックと対策が不可欠です。
理由③:詰め物が合っていない/素材や処置の選択ミス
詰め物の精度が悪い、もしくは素材や処置の選択が合っていないことも外れる原因の一つです。
◆ よくあるパターン
- 範囲の広いむし歯にレジン充填だけで処置している
- 唾液や血液の混入で接着力が弱まっている
- 仮封(仮の蓋)が外れた状態で放置していた
- 金属アレルギーや金属の腐食で接着が弱っている
とくに保険診療では素材や手法に制限があり、どうしても適合性や耐久性が下がるケースがあることも否定できません。
◆ 対策
- 状態に応じてセラミックやジルコニアなどの精度の高い素材を選択する
- ラバーダムや拡大鏡などを使った精密な接着操作
- 適切な治療計画と歯科医師との相談
保険・自費にかかわらず、「どんな素材でどのように治療を行うか」という点は、再発リスクを大きく左右します。
再治療を繰り返さないためにできること
外れた詰め物を「とりあえず付け直す」だけでは、また同じことの繰り返しになる可能性があります。
次のポイントを意識することで、長期的に安定した口腔環境を目指せます。
- 定期検診でむし歯・噛み合わせのチェックをする
- 歯ぎしり・食いしばりがある人はマウスピースの検討を
- 自費治療を含めた治療の選択肢について相談してみる
おわりに
「詰め物がよく外れる」という症状は、単なる偶然ではなく、お口の中に何かしらのサインが出ている証拠かもしれません。
再治療を何度も繰り返してしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、原因の見極めから精密な治療・予防ケアまでしっかりとサポートいたします。
「前回と同じことを繰り返したくない」
そうお考えの方のために、最善の治療法をご提案いたします。